公開日:2019年4月12日 / カテゴリ:お悩み解決事例コラム
サチ
介護士/正社員
介護職員として施設で勤務しています。サチはペンネームです。仕事がらケアマネージャー、看護師、理学療法士、管理栄養士などさまざまなその道のスペシャリストと接する機会が多いです。 そのような機会で得た知識や学び、また現場での経験を活かして、知って得する情報やよくあるお悩みに関してコラムを書いています。私の書くコラムが誰かのお悩み解決のヒントになれば幸いです。
みなさまの介護に関するお悩みを介護のプロが解決します
公開日:2019年4月12日 / カテゴリ:お悩み解決事例コラム
5回に渡って介護保険について詳しく解説していくシリーズの第2弾。
前回は、介護保険制度の概要について説明したほか、介護サービスを利用するためには7段階ある要介護の認定を受けることが必要なことを紹介しました。
今回は、実際に介護サービスを受けるまでに必要な手続きについて詳しく説明したいと思います。
前回のブログで、要介護認定を受けなければ介護サービスを利用することができないというお話をさせていただきましたが、「ではいったい誰に認定してもらうの?」という疑問が出てくるのでは?
今回はそんな疑問にお答えしていきます。
例えば、ついこの間までは病気もなくピンピン元気にしていたのに、突然脳梗塞を発症。幸い大事にはいたらなかったものの、手や足に麻痺が残り、着替えや排泄、入浴などが困難になってしまった場合、あなたならどうしますか?
もし自宅で独り暮らしをしていたら、日常生活に支障をきたしてしまいます。デイサービスを利用したり、介護施設への入所を検討したりすることになるでしょう。
でもデイサービスにしろ、介護施設にしろ、先ほどから話している通り、要介護認定を受けていないと、利用することはできません。ですから、まずサービスを利用できる状況にしておくことが必要になるのです。
ここからは介護サービス開始までの流れを順を追って説明していきます。
①要介護認定の申請
お住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。
②認定調査
市区町村等の認定調査員が自宅や施設を訪問。ご本人様と面会し、心身の状態を確認するための認定調査を行います。
③主治医意見書
申請を受け付けた市区町村が、ご本人様の主治医に心身の障害の原因である病気などに関して意見書への記入を依頼します。主治医がいない場合は市区町村指定の医師の診察が必要です。
④審査・判定
認定調査員の調査結果などをもとに全国共通の基準により判定を行います。(一次判定)
一次判定や主治医の意見書をもとに、医師などの専門家による介護認定審査会で要介護度の審査を行います。(二次判定)
⑤認定
介護認定審査会の判定結果をもとに、市区町村は要介護認定を行い、申請者に結果を通知します。
⑥介護(介護予防)サービス計画書の作成
介護サービスを利用するには、介護サービス計画書(ケアプラン)を作成しなければなりません。要介護1以上の方は居宅介護支援事業者、要支援1・2の方は最寄りの地域包括センターで、介護支援専門員(ケアマネージャー)とともに、どのサービスをどう利用するかを決定します。
⑦介護サービス利用の開始
作成したケアプランにもとづき、必要な介護サービスの提供を受けることが可能になります。
要介護認定を受けるのに費用はかかりません。
申請から認定を受けるまでには1カ月程度かかることになりますが、急を要する場合などは、認定日をさかのぼることも可能に。
この制度があるおかげで、サービスを受けたくても受けられないという事態は避けられるので安心です。
介護サービスというと、入浴や排泄といった身の回りお世話をイメージされる人も多いかと思いますが、それだけにとどまりません。
実は、とてもたくさんの種類のサービスを受けることができるのです。
カンタンには説明しきれないので、次回まとめてご紹介することにします。
現在、要介護認定を受けている人はどれぐらいいると思いますか?
2018年4月末現在の認定者数は全国で644万人に上ります。介護保険制度がスタートした2000年4月末と比べると、実に400万人以上も増えました。
高齢化に伴い介護を必要としている人が、それだけ増えたという証拠。制度として、ある程度定着してきたという言い方もできるでしょう。
ただし、65歳以上の第1号被保険者の数から見ると、要介護認定者の割合は18%ほどにとどまっています。
もちろん、「介護など必要ないわい!」という元気なお年寄りもたくさんいらっしゃいますが、中には本当は介護サービスを受けたほうがよいのに、介護に対する悪いイメージを払拭できず、認定に後ろ向きな方がいるのも事実。
私の経験から言うと、特に男性にかたくなに介護を嫌がる方が多いように思います。いったい私が何を言いたいかというと、介護保険はせっかくの権利だということ。どうしても必要な時には、嫌がることなく、むしろ上手に活用すればいいのです。施設に入居したおかげで「以前より元気になった」という人を、私はたくさん見てきています。
例えば、これから紹介する2人の高齢男性のうち、どちらが健康的な暮らしが送れていると思いますか?
Aさんは自宅で独り暮らし。料理を作るのが面倒くさいので、食事はいつもコンビニ弁当。足が悪く、外出するのもおっくうで、いつも家に閉じこもってばかり…。
一方のBさんは住宅型老人ホームで暮らしています。3度の食事は管理栄養士が監修した栄養バランスのとれたメニュー。Aさん同様足が悪いけど、介護士が付き添ってくれるので毎日のお散歩も楽しみ。同じ施設に入居している仲間とのおしゃべりをしたり、レクリエーションを楽しんだり…。
どちらが健康的で充実した生活を送っているかは、聞くまでもありませんね。
介護サービスを上手に活用し、生活の質を高めたら、要介護認定を受けたとしても、充実した毎日を過ごすことができるのです。
せっかくの介護保険という権利を上手に使わない手はないと思いませんか?
介護職員として施設で勤務しています。サチはペンネームです。仕事がらケアマネージャー、看護師、理学療法士、管理栄養士などさまざまなその道のスペシャリストと接する機会が多いです。 そのような機会で得た知識や学び、また現場での経験を活かして、知って得する情報やよくあるお悩みに関してコラムを書いています。私の書くコラムが誰かのお悩み解決のヒントになれば幸いです。
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